夫婦間の事業継承
個人事業をしているご主人が病気になったりして、その事業の名義を妻や子供に変更したいという場合、勝手に変更したら税務上何か不都合はあるでしょうか。
このような場合には、つまり生計が同じ親族が事業を承継する場合には、不都合がないどころか、逆に税務上は大きなメリットがあります。
その場合のポイントは2つです。1つは所得税法第56条(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例)です。
例えば、個人事業主だったご主人は、これまで事業用の償却資産として店舗として使っている建物と諸々の備品、そして車両を所有し、使用していたとします。そして、これからはご主人は廃業し、奥さんが事業主として新たに開業するとします。事業の内容は全くこれまでと変わらず、ただ事業主がご主人から奥さんに変わるだけです。この場合、今後はご主人所有の償却資産を奥さんが全部借りて営業することになるわけです。
所得税法第56条というのは、この場合に奥さんがご主人に店舗の家賃や備品等の賃借料を支払っても、奥さんの事業の経費にすることはできませんが、ご主人が支払う建物の固定資産税などの費用については、奥さんの方の経費として計上してよいという決まりです。
これによって、生計が同じ親族であれば、贈与や譲渡といったことを考えずに、事業主を変更することができるというわけです。
もう1つのポイントは消費税です。この場合、奥さんは新たに事業を開始することになります。このことは奥さんには消費税の基準期間がないので、開業から2年間は売上が幾らあろうとそれに係る消費税を支払う義務が免除されることを意味します。